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2008年5月10日 (土)

懐かしのフルート

ただいま新幹線で、あるところに向かっています。
今朝ある楽器屋さんのHPを見ていたら、フルートの現物が試奏できるとか

そもそもこの騒ぎ、娘がハープを始めたのがきっかけです。ご存知のとうり、ハープといえばフルートと大変相性が良い楽器です。昨年書いた小品集にも、この組み合わせのものがあり、それを思い出して自分でも吹きたくなりました。確か、20年くらい前に知人が1本置いていったことが有りました。その知人、「何か楽器ができたらいいなと思って、買ってみたが、全く吹けなかったので君が活用できるなら差し上げるよ」と言ってました。当時は吹けない事情があって、そのまま棚にしまっておきました。発掘して吹いた見たのですが・・・・・

by Tanaka@静岡県西部

私のフルートとの出会いは随分以前になります。中学から高校にかけて、二つの吹奏楽団体で指揮や編曲などしていました。それとは別にフルートもやっていました。当時使っていた楽器で唯一のC管、ピアノを持っていない私は、その代用として手を出しましたが、すっかりのめりこみました。最初は部室に眠っている古い楽器を使いました。しかしすぐに限界を感じ、苦学生であった私は、自転車で通ってバス代を浮かすなどの方法で予算を獲得し、少年の感覚では物凄く高く立派なフルートをゲットしました。それから毎日が薔薇色でした。吹奏楽の中のフルートは好きになれず、もっぱらレコードと競演するのですが、ベートーベンやブラームスのシンフォニー、モーツァルトのフルート協奏曲、ビゼーのメヌエット・・・・と、素敵な曲のオンパレードです。やがて段々奥深さがわかってくると、自分の出す音に、いくつか弱点がある事がわかってきました。中でも、一番気になったのが音の出だしです。スッとは音が出ていないのでスタッカートなど吹くと、音が消えてしまいます。特に、2オクターブ目のミ、ファ、ソのあたりが顕著。楽器の問題か、人間()の問題か・・・・・・?  更に、3オクターブ目のppがかなり難しい。楽器の問題か、人間の問題か・・・・・・?   これだけのめりこんでいたフルートですが、ある不幸な事件で、吹くことができなくなりました。体育の時間に、バレーボールでアタックをした際、相手チームのアタッカーと衝突し、そのハンマーのような手が、私の右手小指を激しく叩きました。哀れな小指は第二関節付近にヒビが入り外側に向かって20度ほど湾曲し動かなくなりました。この事件は、フルート吹きにとっては致命的。フルートは、唇と左手人差し指の根元と、右手小指の3点で支えます。「支え」に使う指はまさにこの1本のみ。その指を壊してしまったわけです。腫れがひいた後、何度かリハビリにトライしましたが、動きはわるいし、少し無理するとまた腫れる・・・の繰り返し。外科医の話では、関節間際のダメージのため外科的に治すのは無理との事。もう吹けないものと悟りました。

・・・・・発掘したフルートですが、実に恐ろしいものでした。「物凄く高く立派なフルート」はオケでフルート吹いている人に「私の代わりに活用してください」と譲っていましたので、手元にあるものは、かつて、部室にあった、古くて誰も使いたがらないようなフルートです。

Flute01_2

まず息を吹き込んでみると、音が出ません。楽器の問題か、人間の問題か・・・・。人間もだいぶ経年変化しているわけで、奥歯の1本がさし歯になっているし、口周りの筋力も落ちています。正直なところ、戸惑いました。 頭部管だけ外して吹いてみると、一応音が出ました。ほっと一安心。それではどこが問題でしょうか?  フルートには沢山のキーがありますが、その中で、一番、歌口に近いところにある2つのホールを塞いでいるトリル用のキー、これのバネの応力がほとんど無くなっているとわかりました。ここを輪ゴムでしばってやると、一応、音がでました。

Flute02

しかし、出てくる音は、イメージとは全く異なります。唇や指が段々30年前の記憶を取り戻していくなかで、その記憶からイメージする音色と、実際目の前で出ている音にかなりの隔たりがあります。まるで騒音。口の筋力などの影響か?  自宅に戻った日は、少しずつ吹いて、筋力を戻そうとしていますが、とにかく、異臭もして、指触りも悪く、口に当てるのが苦痛にさえ感じます。私のピアノはC音を一つポンと出すと、それだけで、部屋全体が明るく感じるような響きが得られます。幾つかの音をポンと出すと、弦どうしがコラボをやって互いに溶け合いながら美しい響きになります。しかしこのフルートはそうはいかないようです。

楽器の問題か、人間の問題か・・・・・・・・。

家族は私の「格闘」の様子を見ていて、まともな楽器を買ったらどうかと言います。以前私が「物凄く高く立派なフルート」を買った頃とちがって、自宅にいながらにして、インターネット経由でフルートの様々な情報が入ってきます。私のフルートは、国内の楽器総合メーカーのもので、当時は私が足を運べる楽器屋さんでは、このメーカーのものしか取り扱っていませんでした。Cフットでカバードキーでプロでも使えるもの・・・というと1つしかなく、あとは、学校用のうんと安いものか、その少し上のものの、合計3つが選択肢でした。しかし今は凄いですね。本当に様々ものがあります。総銀製の国内メーカーも数社あり、ハンドメイドなどもあります。納期は2年かかるものもあるとか・・・・。これだけ沢山あると、ネット上では買えませんね。言葉で説明はされていますが、何を言っているのか今ひとつわかりませんし、相性もあるでしょう。しかも、注文生産などになると、一体どうやって決められるのでしょうか??  近所に専門家はいませんし、どこかの偉い先生に聞く気にはなれません。相手してくれないかもしれないし、まともに吹けないでしょうから、恥ずかしいかもしれない・・・。まず、そこそこのを買って、ある程度、力を復活した上で、楽器メーカーに乗り込んで、色々注文つけて作ってもらっては・・・こういう案もでました。しかし、そこそこの楽器は、そこそこの事しかできないかもしれません。いつも、楽器の問題か、人間の問題か区別がつかなくて困っているではないですか。

そう思っていると、ある楽器屋さんのHPに、「ハンドメイド品まで取り揃え、試奏も随時可能」と出ています。「本当~!?  まだお店が開いていないので電話で確認する事はできません。それなら直接行って確かめよう・・・・と、新幹線に乗っているわけです。

(続く)

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コメント

Tanakaさんびっくりです!昔フルートまで吹いていたんですかぁ 知りませんでした・・・
どこまで多才なというか、興味の広い方なんでしょうね。

このエピソード、私とよく似た点があり、コメントせずにはいられませんでした。実は、私も右手小指が外に20度ほど湾曲した形状をしているのです。原因となった怪我は2歳児くらいの時にこけて骨が折れていたのを母が気づかないまま治ってしまい、気づいた時には曲がったままの形状で元に戻らなかったのです。母はずいぶん責任を感じたようですが。。。

ただ、フルートを始めた時からこの形状でしたので、私の場合は特に不都合を感じることはありませんでした。曲がっていることよりも、短いことの方が致命的かも。フルートの右手小指は長ければ長いほど低音が楽ですよね。

フルートを支える指について、少し訂正を加えるとしたら、私は先生に「フルートは唇、左手人差し指の付け根、右手親指の3点で支えるものだ。」と教えられました。イメージとしては、唇と右手親指で前方に向けて押すのを、左手人差し指付け根で自分の方に向かって押し返すのです。
上手にやれば、これで充分しっかりと支えられるのだと。右手小指は最低音付近を演奏する際に自由に動かないといけないので、力を入れすぎてはいけないと。

そうは言っても現実的には、短くて届きにくい、低音は出にくくて力んでしまう、少しでもキーが浮くと全く音が出なくなる・・・などの劣悪な条件下、どうしても力が入ってしまうんですけどね。

楽器選びは悩みますよね。私は最初の楽器は最初についた先生(後にわかってみると、フルート協会の理事をやっていらっしゃったような、有名な先生だったんですが)が紹介してくれた中古楽器でした。
「本気でやる気のある初心者が最初に持つにはぴったりだよ」と選んでくれたのがムラマツのDNモデル(現在はありません)というものでした。
総銀製のC管リングキーです。

私が中1でフルートをやりたいと言い出した時に、母は「楽器代は10万くらいあれば充分足りるかな?」と思っていたそうですが、先生の紹介してくれたその中古楽器は中古のくせに40万の提示価格。
母は内心「超ビックリ!」だったのに、それを顔には出さず、素早く「あのへそくりを放出すればなんとかなる・・・」と試算して黙って買ってくれました。
ものすごく高価な楽器を、それも上達するかどうか、ものになるかどうかわからない我が子のために黙って買ってくれた母に、言いようのない感謝と尊敬を感じたのを覚えています。
今まで練習するのが辛いとか嫌だとか1回も感じたことが無いのも、あれからン十年経った今もかけがえのない趣味としてフルートを続けているのも、ひとえにこの件がベースにあるからだと思います。本当にいい楽器でした。そのおかげで、2本目に買い換えたのはつい4年ほど前でした。

日本にはよいフルートメーカーがたくさんありますので、迷いますよね。
私はパワーのあるクリアな音が好きなので、アメリカの楽器を2本目に選びましたが、渋い系がお好きな方はヨーロッパのメーカーもよろしいかと思います。
たくさん試奏する機会が欲しければ、フルートフェアを狙うのもいいですよ!かなりの数の楽器が集められますから。
いい楽器に巡り会えることを、お祈りいたします

投稿: ぬる@Flute | 2008年5月24日 (土) 19時03分

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